【クローン病】疑いがあると告げられた時は、聞いたこともない病名で戸惑いました。(男性・渡辺二郎さん)

――肛門まわりの激痛+発熱で病院へ。肛門周囲膿瘍と診断され、様子を見ているときに再び肛門に激痛が。肛門のスペシャリストを紹介され、さらに大きな病院で「クローン病(指定難病96)」という難病と診断された渡辺二郎さん。病気を受け入れ、日々の生活とどう向き合っているのか、その思いをお聞きしました。
お話を聞いた方のプロフィール
お名前/性別 | 渡辺二郎/男性 |
診断された難病の名前 | クローン病(指定難病96) |
診断された時の年齢 | 28歳 |
家族構成 | 妻と子ども4人 |
住んでいる地域 | 長野県 |
もくじ
クローン病とはどんな病気なのか
大腸及び小腸の粘膜に慢性の炎症または潰瘍をひきおこす原因不明の疾患の総称を炎症性腸疾患(Inflammatory Bowel Disease:IBD)といい、狭義にはクローン病と潰瘍性大腸炎に分類されます。
難病情報センター https://www.nanbyou.or.jp/entry/81
クローン病は主として若年者にみられ、口腔にはじまり肛門にいたるまでの消化管のどの部位にも炎症や潰瘍(粘膜が欠損すること)が起こりえますが、小腸と大腸を中心として特に小腸末端部が好発部位です。非連続性の病変(病変と病変の間に正常部分が存在すること)を特徴とします。それらの病変により腹痛や下痢、血便、体重減少などが生じます。
難病と診断される前の体調
診断される2年ほど前にお尻が痛くなりました。
痔だと思い、市販薬を買って対応していましたが、一向に良くなりませんでした。ちょっと恥ずかしかったので、誰にも言えずにこっそりと薬を塗る日々でした。
そんなある日、下痢を伴う38度程度の発熱をし、仕事を休み療養していましたが、一向に熱が下がらず、2週間ほど経ってしまい、さすがにおかしいと思いようやく病院に向かいました。病院で検査をするもCRPがとても異常と出るだけで、原因はわかりません。意を決して痔があると伝えましたが、「痔くらいでこんなに熱は出ない」と一蹴され、大きな病院への紹介状を出していただきました。
大きな病院でも一応痔があると伝えると直診されましたが、その時にあまりの痛みで飛び上がりそうなったのを今も覚えています。すぐに外科に回され、手術することになりました。診断は肛門周囲膿瘍。翌日入院しすぐに手術、1週間ほどで退院。さらに1週間後に大腸変異を確認するため大腸カメラの予約をとりました。大腸カメラ当日は朝から下剤を飲んで病院に向かいましたが、検査前に直診されたときに手術の傷が癒えておらずこれまた飛び上がるほどの激痛。検査に耐えられないだろうとのことで、いったん検査はキャンセルになりました。主治医も「まだ若いし検査しなくても良いね」とのことで検査はしないことになりました。
その後体調も落ち着いていましたが、そこから1年後、再び肛門の痛みが僕を襲います。前回のことがあるので、肛門科がある内科にすぐに行くと、再び肛門周囲膿瘍の診断がつき、「肛門のスペシャリスト」がいるからとのことで、紹介状を渡されました。
病院に行くきっかけの出来事
「肛門のスペシャリスト」がいる病院に行き肛門を見せると、スペシャリストはすぐに「手術が必要」そして「クローン病の疑いがあります」と僕に告げ、手術はやるが、クローン病の確定診断は出せないので大きな病院に行くようにと紹介状ももらいました。
難病と診断された時の心境
スペシャリストから紹介された大きな病院でレントゲン、CT、大腸カメラなどひとしきりの検査を済ませ、「クローン病」と診断されました。診断を受ける前にスペシャリストから「疑いがある」と言われたときに、いろいろと調べていたのでこの時の心境は「やっぱりか」でしたが、スペシャリストから「疑いがある」と告げられた時は、聞いたこともない病名で戸惑いました。
結婚も控えていたので、結婚していいの?子どもつくれるの?などいろいろな不安が浮かびました。
治療や通院で大変だったこと&どう乗り越えたか
僕は肛門病変が一番大変でした。肛門周囲膿瘍も痔瘻になり、肛門周辺にはいくつか穴ができていました。
スペシャリストの手術は完璧でしたが、肛門の手術後も肛門外の穴から微量ですが膿が絶え間なく出続けます。それを受け止めるために女性用のナプキンを常用していました。ナプキンを買うのは恥ずかしいので、奥さま(当時彼女)に頼んだりしていましたが、その生活が長くなると自分で購入できるように成長しました。いろいろなナプキンを試したのでかなり詳しくなれました。
服用している薬や通院頻度

クローン病の診断後、すぐにレミケードでの治療を開始し、現在も継続中です。
僕には効いてくれているので8週に1度、通院し点滴をしています。ですが、レミケードの副作用か、肌に蕁麻疹が出てかゆくなってしまうので、アレルギー薬を常用しています。
生活で気を付けていること
現在、特に気を付けていることはありませんが、ストレスにならない程度食事に気をつかっています。
特定医療費(指定難病)受給者証の存在をどこで知ったか
クローン病の疑いがあると告げられ調べたときに、難病だということと受給者証の存在を知りました。
難病で困ったこと(または困っていること)
大きく困っていることはありませんが、受給者証があっても通院には「お金がかかること」と「休みを取らなくてはならない」こと。
お仕事について
大変理解のある職場だったので、現在も働かせていただいています。
趣味や好きなもの

趣味は車いじりと料理をしながらの飲酒。
難病とどのように向き合っているか
レミケードがいつまで効いてくれるのか、これ以上のアレルギーは出ないか、ヒュミラに乗り換えたほうが良いか、など気を揉むこともありますが、日常の忙しさと向き合っているのでしんどくありません。
同じ難病と闘っている方へメッセージ
ご自分に合う治療法に出会うことがとても大切だと思います。僕は幸いにもレミケードが効いていますが、効かない人もいると聞きます。医療の進歩で
いつか難病ではなくなる日が来るはずです。その日を信じて、小さな幸せを大切にしていきましょう。

渡辺二郎さん、この度はアンケートにご協力いただきありがとうございました。
クローン病と診断されるまでたくさんの病院にかかられ、当時のしんどさが文章を通して伝わってきました。